私見 お葬式って何してるの? (禅宗の一例) 坊さんのどうでもいい雑学

今回皆さんが疑問に思われているだろうお葬式について。

はっきりいって何やってるか解らないと思います。

ちょっと長くなりそうだけどご紹介します!

 

仏弟子になる儀式をする。

基本的には亡くなった方のために代わりにお経を読んであげる。

仏弟子としての名前を授ける。

仏様に成仏をお願いする。

故人が迷わないように導く。

 

こんなとこです。

具体的にみてみましょう。(あくまで一例です)

 

 

1 剃髪偈(ていはつげ)

まず仮に髪とひげを剃ったことにします。頭を丸めたことにします。

得度時(仏門に入る時)に読む偈

 

剃除鬚髪(ていじょうしゅほつ)

当願衆生(とうがんしゅじょう)

永離煩悩(ようりぼんのう)

究竟寂滅(くぎょうじゃくめつ)

 

意味としては

髪とひげを取り除き

まさに命のあるもの全てに願う

永く煩悩を離れて

究極の悟りの境地に行きますように

 

といったところでしょうか?あくまで私訳です。

これを3度唱えます。3度目に後半2列を

浄利煩悩(じょうりぼんのう)

究竟安楽(くぎょうあんらく)

と変えます。

 

煩悩がよく清められて

究極の安楽に達するように

 

2 懺悔文(さんげもん)

ざんげもんではなくてさんげもん

ざんげはキリスト教等の言葉で仏教ではさんげと読みます。

 

我昔所造諸悪業(がしゃくしょぞうしょあくごう)

皆由無始貪瞋痴(かいゆうむしとんじんち)

従身口意之所生(じゅうしんくいししょしょう)

一切我今皆懺悔(いっさいがこんかいさんげ)

 

私が過去に行ったあやまちは

全て始めもわからない深い貪り(むさぼり)、怒り、愚かさ(三毒)によります

身体の行い、口の行い、心の行い(三業)から生まれ起きたものです

全てを今、悔い改めます

 

これも3回読みます。

 

3 三帰戒

3つのよりどころに信仰しその教えに従います

 

南無帰依仏(なむきえぶつ)

南無帰依法(なむきえほう)

南無帰依僧(なむきえそう)

帰依仏無上尊(きえぶつむじょうそん)

帰依法離欲尊(きえほうりよくそん)

帰依僧和合尊(きえそうわごうそん)

帰依仏竟(きえぶっきょう)

帰依法竟(きえほうきょう)

帰依僧竟(きえそうきょう)

如来至真等正覚(にょらいししんとうしょうがく)

是我大師我今帰依(ぜがだいしがこんきえ)

従今以往称仏為師(じゅうこんいおうしょうぶついし)

更不帰依邪魔外道(こうふきえじゃまげどう)

慈愍故(じみんこう)

慈愍故(じみんこう)

大慈愍故(だいじみんこう)

 

 意味としては

絶対的に仏様を信じます

絶対的に法(仏教)を信じます

絶対的に僧(お坊さん)を信じます

仏を一番尊いと信じます

欲を離れる仏法を信じます

僧の教団を信じます

究極の仏を信じます

究極の仏法を信じます

究極の僧を信じます

如来は最高の真理である悟り(正覚)であり

これが私の大いなる師であり

私は今、これを信じます

今より仏を師として従う

慈しみ、憐れむが故に

 

これも3回唱えます

最後の慈愍故にはあまり意味が無いようです

 

この後戒名を授けます

昔から人の(実名)は呼ぶのを避けられ、尊敬する人の名は直接は呼ばれませんでした

仏弟子としての名ということと諱(いみな)ということです

昔は本名を知られると呪いをかけられると信じられました。名前がその人そのものと考えられていました。

 

4 戒名を読んで授与します。

 

回向(えこう)「伏して願わくは今より以後、仏を称して師となし深く禅定に入りて十方の仏にまみえんことを」

 

謹んで今から仏を師として宣言して深く雑念を退けあらゆる仏にお目にかかることを願う

 回向とはお経を何の目的であげるか目的を唱えます。

 

5 お経 お経についての解説はまたの機会に うちの宗派ではお葬式が終わるまで「般若心経」は読まないことになっています

 

6 十仏名

仏様の名前を唱えます。10仏名ですが10人ではありません。

 

清浄法身毘盧舎那仏(しんじんぱしんびるしゃのふ)

円満報身盧舎那仏 (えんもんほうしんるしゃのふ)

千百億化身釈迦牟尼仏(せんぱいきゃしんしきゃむにふ)

当来下生弥勒尊仏 (とうらいあさんみるそんぶ)

十方三世一切諸仏 (じーほうさんしいしいしふ)

大聖文殊師利菩薩 (だいしんぶんじすりぶさ)

大行普賢菩薩   (だいあんふげんぶさ)

大悲観世音菩薩  (だいひかんしいんぶさ)

諸尊菩薩摩訶薩  (しそんぶさもこさ)

摩訶般若波羅蜜  (もこほじゃほろみ)

 

七人ですね。

びるしゃなぶつ

るしゃなぶつ

しゃかむにぶつ

みろくぼさつ

もんじゅぼさつ

ふげんぼさつ

かんぜおんぼさつ

 

今とだいぶ読み方が違いますがこれは禅宗が「宋」(南宋)から伝わった為に中国読みをそのまま使った為と思われます。

毘盧遮那仏盧舎那仏は同じのようです。(詳しくないw)奈良の大仏で有名なのがこの仏様。

釈迦牟尼仏 お釈迦様ですね。仏教の開祖

弥勒菩薩  未来仏

文殊菩薩  智慧第一

普賢菩薩  あまねく賢い。理性第一。女人成仏のお経に登場。

観世音菩薩 観音様。昔からあらゆるものに姿を変え身近に助けてくれると人気。

 

これも3回読みます。

 

回向「伏して願わくは神は浄域を超え業は塵労を謝し蓮は上品の華を開き仏は一生の記を授く。再び大衆を労して念ず」

 

神は「しん」と読みます

 

7 引導法語

ここで立ち上がり引導。よく引導を渡すと言いますがここではこの世に対する未練を断ち切って安心して旅立てよということで

故人の人柄

故人の人生の紹介

何年生きたか

故人の俗名

授与した戒名

などを改めて読み上げます

ちょっとした有名な句など読んで「喝」

「喝」自体は特に意味は無く昔、中国の臨済禅師(りんざいぜんじ)という人が「喝!」と弟子たちを指導して正解も喝、間違いも喝ということで一日三千喝とも言われていました。

日曜日に某番組で野球解説者が「喝!」とやっていますね(笑)。

 

この後、弔電披露、焼香って流れです

焼香時は大体「観音経」を読みます。

妙法蓮華経観世音菩薩普門品第二十五という長めのお経を読んでまた回向で葬儀式終わりです。

 

まとめ

駆け足ですが自分なりにわかりやすく書いたつもりです。

なかなか話すには長いのでまとめてみました。

不備があればお許しください。

あくまでも禅宗の葬儀の一例の流れです。

ありがとうございました!