ラマダーンで色々あるからあえてイスラム教の素晴らしさを書いてみる 坊さんのどうでもいい雑学
みなさん世界中をお仕事や旅行で旅をされてイスラム教の国に行かれる事も多いかと思います。
特に最近はマレーシア旅行は人気ですし、インドネシアでお仕事の方も多いようです。
マレーシアのモスクで見事なイスラム建築をご覧になった方も多いかと思います。
またラマダーン(断食月)を前にインドネシアで過激派が活発になっていましたね。
それでは私の分かる範囲でイスラム教の良い文化について簡単に書いてみたいと思います。
ラマダーンについて
最近はみなさんラマダーンについては「断食をする月」というのはご存知ですね。
イスラム教ではヒジュラ歴を採用していて月の観測を元にした太陰暦になっています。
この9番目の月になると断食をします。
この断食を(サウム)と言います。
三日月を観測して新月の日没から一ヶ月行われ、昼間は飲食禁止で日没と共に食事をするのですがドカ食いをしてしまうためかえって太ってしまうそうです。
ヒジュラ(聖遷・移住)
もともと西暦622年頃、ムハンマドとムスリムの一団がメッカでの迫害を逃れる為にアスクム王国に移住した時の苦難を偲ぶ所から来ているようです。
ラマダーンの時期はムスリムの方は一段と敬虔な気持ちになるそうです。
この時期にムハンマドが神からの啓示を受けた「聖なる月」でもあります。
預言者ムハンマド
預言者とは「神からの言葉を預かった者」という意味です。
ムハンマドは天使ジブリール(ガブリエル)から神(アッラーフ)の啓示(お告げ)を受け取って「クルアーン」にまとめました。ムハンマド自身は文盲で書記たちがまとめました。
つまりクルアーンは「神の言葉」そのものですので書き換えたり勝手に解釈することはできません。
日本ではコーランと言われますがアラビア語では「アル=クルアーン」と呼ばれています。クルアーンとは「詠唱すべきもの・読誦するべきもの」という意味でつまり「アラビア語で声に出して」読まなければなりません。
この為ムスリムの子供達はクルアーンで文字を覚えるので文盲にはなりません。
ムハンマド・イブン=アブドゥッラーフ - Wikipedia
クルアーンについて
クルアーンは神の言葉そのものですので絶対に守らなければなりません。それは行動を示しているもので、行動を守っていれば「イスラム教を信じている」ということになり、これを「宗教規範」と言います。イスラム教を信じていれば行動を守らなければなりません。(ただし、イスラム教には必ず「合法的な例外」があります)
つまりイスラム教では宗教規範が社会のルールとして適用されます。
清浄について
みなさんご存知のようにイスラム教では一日五回のお祈り(礼拝・サラート)があります。この時心身ともに「清浄」であることが求められます。(シーア派では三回)
欧米では若い女性でさえ三日間シャワーも浴びないという事がありますがイスラム教では礼拝のたびに体を清めます。
1、手を洗う2、口をすすぐ3、鼻の穴に水を入れそそぐ4、顔を洗う5、手首からひじまで左右を洗う6、手を濡らし額の方向から髪を触る7、足を足首まで洗う となっています。
もちろん日本にいるムスリムでそんなの守ってる人いないよ、と言う方もいらっしゃるでしょうが定められている以上守っている方も大勢いるということです。
コーヒーの文化
これは知られていないかもしれませんがコーヒーを飲むというのは元々イスラムの文化です。ムスリムの方はお酒を呑むのを禁止されていますのでコーヒーを飲みながら親交を深めます。アラビックコーヒーはユネスコの文化遺産になっています。
アラビックコーヒーというのはコーヒーの粉をフィルターを通さず直接煮込んでうわずみを飲みます。カルダモンというスパイスを加えて飲まれる事が多い様です。
コーヒーはオスマントルコからヨーロッパに伝わった様です。
みなさんも中東に行かれたり中東系の飛行機に乗るときは是非アラビックコーヒーを飲んでみてはいかがでしょうか。
イスラム(ムスリム)商人
イスラム教といえば「商人文化」です。特に遠距離貿易が有名でアッバース朝(750-1517)の頃には東はシルクロードを通って唐の都長安まで、海路では東シナ海まで西はエジプト、フランスまでと広大な範囲で活躍していました。特にインドから香辛料を仕入れてはヨーロッパで高値でさばき、同じ重さの金と取引されたといいます。
都のバグダード(バグダッド)には世界中の富が集まり「世界の十字路」と呼ばれました。
また学問も大変栄えインドから来たインド数字を元に「アラビア数字」が生まれました。アラビア数字が現在も使われているのはご存知の通りです。
この頃すでに為替・約束手形・小切手が流通していました。
この頃のアラビア世界を元に「千夜一夜物語」のシンドバッドの活躍が描かれました。
バグダードのアルブネーヤモスク
このムスリム商人の航海術を元に後のヨーロッパの「大航海時代」に繋がったと言われています。
まとめ
この様に中東では早い時期から高い文化・学問が栄えました。
CNNのまとめによると、外科手術・飛行装置・大学・代数・光学・音楽・歯ブラシ・クランク・病院・コーヒーがイスラムの10大発明とされています。
CNN.co.jp : 現代世界に生きるイスラムの発明10選 - (1/3)
この様に中世までのイスラム世界は大変栄えて世界をリードしていました。
以前ブログにも書いていますが、中世ヨーロッパのキリスト教の神父たちは聖書を読む事が出来ず、イスラム諸国に留学して聖書の読み方、ギリシャ哲学を学んでいました。
しかし残念ながら近代化には遅れてしまい、イスラム世界はキリスト教徒のヨーロッパ人の前に膝を屈しました。
「汚なきことクリスチャンのごとし」と呼んでいた野蛮人たちが、世界の主人になってしまった。というのが彼らの感想かもしれません。(歴史をみると戦争が強いのはだいたい野蛮人です)
トルコ共和国の初代大統領のムスタファ・ケマルが「欧州に学べ」と資本主義経済や近代的諸制度を取り入れ一日五回の礼拝を三回に減らし、女性のベール着用禁止、一夫多妻の禁止などを実施し、さらには「イスラム教を国教とする」というトルコ憲法の規定を廃止しましたが近代化はある程度しかうまくいきませんでした。
しかしイスラム諸国が近代化に失敗しているとはいえそれをもって「イスラムは野蛮」と断ずるのは早計ではないでしょうか?
個人的にはイスラム教が野蛮というイメージは欧米のプロパガンダと思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。