坊さんが三島由紀夫に影響されて憧れのワット・アルンとバンコク3大寺院巡りをした話
去年8月下旬にバンコクの三大寺院巡りをしました。
二十歳の頃読んだ三島由紀夫の「豊饒の海 4部作」の第3巻「暁の寺」を読んだ時から遠いバンコクの地に思いを馳せていました。
三島由紀夫の文章で熱帯の都バンコクが非常に幻想的に描かれていました。
三島文学は難解ですがこの豊饒の海4部作は三島最後の作品で三島文学の精華と言われています。難解なのでなんどもなんども読みました。特にこの暁の寺は仏教の「輪廻転生」そして「空の論理」について書かれており大変影響を受けました。
豊饒の海というのは月の地名からきてると何かで読みました。
ワット・アルンの「大仏塔」です。いい写真が撮れました。
今回初めての一人海外でした。
安いツアーということで「VELTRA」から「ウェンディツアー」にお願いしました。
日本語ガイド 車の送迎ありで1440Bと記憶しています。
三大寺院(ワットプラケオ・宮殿・ワットアルン・ワットポー)の拝観料込みです。
チットロム駅近くのインターコンチネンタル バンコクで集合です。
他のツアーの待ち合わせ場所にもなっていて凄い人でした。
ガイドは日本語がまあまあなサンディーさんでした。この日の参加者は僕だけということでガイドさん貸切でした。もちろん男性です(笑)。
まずはワットプラケオ(エメラルド寺院)です。王室守護寺院。
一番格式の高い寺院とされています。ガイドさんからスリに注意と言われました。観光客がめちゃくちゃ多いです。ほとんど中国人。
プラ シー ラタナー チェディという仏舎利塔です。
仏舎利というのはお釈迦様の骨や歯のことでそれを祀っているのが仏舎利塔です。
世界各地の仏教国にあり日本にもあります。仏教の経典を祀ってる場合もあります。
ちょっといいページが出てきませんでした。
王宮寺院ということでかなり広いです。暑くて喉が渇きますのでぜひペットボトルの水を持参されることをお勧めします。当日は曇りでガイドさんは「涼しい」と言っていましたが(笑)。
エメラルド仏の収められてる建物内は撮影禁止。土足厳禁。帽子も取った方が良いでしょう。タンクトップ・短パンも禁止。
エメラルド仏は遠くの高いところに鎮座し地元の人々がお祈りしています。
ここの仏様は年に3回着替えるそうで衣を纏っています。国王が直々に着替えさせるそうです。確かお経を唱えてるタイのお坊さんが数人いたと思います。
顔が猿で体が鳥。神様の使いだそうです。
一通り建物を見ると次は周りの回廊に描かれている有名な壁画を見学。ざっと見る感じで写真は撮りませんでした。タイの神話が描かれています。
建物には中国の影響、宗教的にはインドのヒンドゥー教の影響が強いです。
早足のガイドさんに連れられて今度は王宮です。
自撮り棒を持った中国人でいっぱい(笑)。
結構大きいですが個人的にはあまり関心がありません(笑)。
もちろんタイ王室には敬意を持っていますが。
右端に写っているオレンジのポロシャツの人がガイドさんです。
この写真の門の外にも建物があり王室のお葬式に使う建物がありガイドさんが「国王が亡くなると一年間お通夜をする」と言っていました。この時はラーマ9世(プミポン国王)はまだ健在でした。
王宮を出てチャオプラヤー川を渡ります。この船着場結構揺れます。
川の水は濁っています。ガイドさんに聞くとナマズなどがいるとのことでした。
ここの船着場に行く前の通路で強烈なデジャブを感じました。前世はタイ人かもしれません(笑)。
すぐにワットアルンが見えます。残念ながら改修中ですね。
スマホで話してる坊さんがいました・・・。
これツイッターのアイコンにしようかな・・・(笑)。
ワットアルンに到着しました。思ったよりこじんまりとしています。
有名な大仏塔が改修中のためか観光客は少ないです。
この塔登れるのですが手すりも無く怖くて登れませんでした。かなり急角度です。
大仏塔の周りにも塔があります。
今ではワットプラケオにあるエメラルド仏はもともとチェンライにありこちらにも安置されている時期がありここにエメラルド仏を安置した時に夜が明けたため「暁の寺」と名付けられたとガイドさんに聞きました。長年の疑問が解けて感動しました。
ちょっとセクシーな彫刻がありました(笑)。
本堂のような仏像の安置されている場所です。地元の人でしょうか?
小説「暁の寺」でお姫様「ジン・ジャン」の幽閉場所とされている「薔薇宮」を連想するのにピッタリの女性的な印象を与えるお寺でした。ワットプラケオ・ワットポーに比べるとかなり印象が違います。地味というか落ち着いているというか・・・。
お天気が悪かったのですが粘って写真を撮りました。この写真がお気に入りです。
他はあんまり見るもの無いかな。数人の白人さんがいました。
確かこれ「大仏塔」と記憶していましたが自信が無くなってきました・・・(笑)。 塔の表面のキラキラは中国から輸入した陶器の破片だそうです。当時の中国は世界に冠たる文明国ですからね。中国製品が自慢だったのでしょう。
境内で民族衣装のコスプレをして写真を撮ってる女性がいました。
あまり見るものも無くまたチャオプラヤー川を戻ります。
割と揺れます。
涅槃仏で有名なワットポー見学。ここはタイマッサージの総本山としても知られています。タイで最初の大学はマッサージの学校と聞きました。境内でマッサージも受けられます。
横に長いです。建物が狭いので写真が撮りにくい・・・。
ちなみに東南アジアや台湾の仏像は金ピカなイメージと思いますがこれが本来の姿とされています。悟りを開いた人「仏陀」になると様々な身体的特徴が現れるとされています。
例*髪の毛がパンチパーマのように丸まる 手が長くなる 足の裏に模様が現れる、など。
仏の32相、と言われています。ですから金箔が剥がれると塗り直します。日本人からすると適度に金箔が剥がれている方が古そうでありがたみがあります。
この時は残念ながら足の裏は修理中でした。これは表の待合所にあったポスター。
これだけで仏そのものを表すこともあります。
涅槃仏のある建物にあった柱の孔雀の彫刻。孔雀はインドで害虫を食べると考えられていて転じて仏を災いから守るものとされています。漫画の「孔雀王」はそこから来ていて悪いものを退治する物語となっています。
仏様の前に仏様・・・タイ人どんだけ仏好きだよ!(笑)。
ちなみに皆さんご存知と思いますがこの「寝釈迦」「涅槃像」というのはお釈迦様が「入滅」つまり亡くなる時の様子を示したもので有名なエピソードです。
お釈迦様は80歳で亡くなられていて信者から寄付されたキノコ(一説には豚肉)を食べて食中毒で亡くなったとされています。この時自分を責める信者をお釈迦様は慰めたと言われています。「人間はいつか死ぬ。これはただのきっかけに過ぎない。」
この時北枕で右側を上にしていたと伝わっています。亡くなった僕の祖母によると「心臓を上にしていると楽」なのだそうです(笑)。
涅槃仏の前に有名な鉢がありました。108つ有るそうで小銭を購入して一つ一つに入れていききっちり入れられたら煩悩が消えるそうです。いくつか体験記を読みましたがきっちり終わったという話を聞いたことがありません(笑)。
表に出るとムスリムの女性がいました。バンコクでは意外とムスリムの方を見かけます。マレーシアとかから来ているのでしょうか?イスラム教では偶像崇拝は禁止されていますから珍しいでしょうね。
まとめ
こんな感じで三大寺院観光は終わりました。この後帰り道で雨が降って来て大変でした。ちょっと駆け足でしたがやはり日本語ガイドがあって良かったです。
またタイの方の本当に信仰熱心な姿に大変感動いたしました。
念願のワット・アルン参拝ができて本当に良かったです。
タイなどの南伝仏教(上座部仏教)では人生で一度は出家するのが人生の理想とされているそうです。仕事を辞めて時間のできた時期などに修行に入るそうです。
南伝仏教では「悟り」、自分自身で悟ることが非常に大事とされています。(悟りを開く)
しかし誰でも簡単に悟れる訳では無く、ものすごい時間、努力が必要です。仏教における最大命題は「悟り」であって全てはそのために存在します。時間の存在でさえ悟りのためのものであって悟るためには「生まれ変わり(輪廻)」が必要です。
お釈迦様でさえ生まれ変わりを経験して悟ったとされていてその間にはとてつもなく長い時間ととてつもない「善行」の積み重ねが必要だったと言われています。
「生まれ変わり(輪廻)は時間の存在そのもの」といえば少しはご理解いただかれるでしょうか・・・?
中国から日本に入って来た北伝仏教では「阿弥陀如来」の存在のおかげで誰でも(簡単に)極楽に行けるとなっています。しかし南伝仏教(上座部仏教)では「自力」での悟りが(絶対に)必要であり時間・その他のものは全てその「悟り」のために存在します。悟りを得ると「輪廻」から逃れて「解脱」することができます。他に「救い」の道はありません。
このため三島由紀夫の生まれ変わりの物語には南伝仏教の地で有る「バンコク」が登場します。インドはヒンドゥー教ですから。
Amazonの書評を見るとなんでバンコクが登場するかわからないという方もいますね。
南伝仏教の「輪廻」が必要なためと思います。
ちなみに輪廻の主体は「阿頼耶識」であって魂ではありません。実は仏教では「魂」というものを「絶対に」認めません。一般的に「魂」と言ってるのはわかりやすくするためです。阿頼耶識に「前世の記憶」はありません。小説「豊饒の海」で本多が見ていたものは全て「幻」です。
https://www.google.co.jp/?gws_rd=ssl#q=阿頼耶識
阿頼耶識自体は善でも悪でもないとされています。
まだ「豊饒の海」をご覧になってない方はぜひ読んでみて下さい。認識(現実)の不確かさに迷って下さい(笑)。
読んで下さりありがとうございました。